イノベーションは「新結合」という意味
色々なスタイルのジャズをずっとやってきましたが、余りにジャンルが枝分かれし過ぎて、至ってつまらない音楽にたどりついてしまった。(←まあ、感じることは人それぞれでしょうが・・・)
そこで、始まった私達のINNOVATIONが 「ラグタイム」だったのです。自分達の経験していない時代の音楽。かといって100年位前だからそうほど遠くない。
テーマを即興するのではなく、譜面を見ながら再現する音楽。スウィングしない音楽に意味を持たせることが 正に我々が導入した新しいこと。すなわち革新であった。
現代を生きる自分達と演奏されることなくうずもれていたラグタイム曲が アクロス・カルチャーで、新結合したというわけだ。
既に存在する曲をラグタイム調に弾くとなるとそれは、「ラグタイム」ではなくジャズの部類になり、クラシック曲をストライド奏法で弾くということになる。
またこれを敢えて「ラグタイム」と呼ぶのならば、それはパクリの世界なのだ。クラシック・メロディーのあれこれを引用して譜面に書く作業が行われる。いわゆるその曲のパロディー・バージョンが誕生する。
そしてそういうパクリがラグタイムには非常に多い。何故なら、譜面の読めない書けない黒人達が白人音楽を真似したからだ。アメリカ民謡やクラシック音楽のフレージングがいくつも出てくる。
古い物でも新鮮さを与えるものは 人の心の中で、どこか新しい。それは必ずしも真新しくなくても、革新されていなくても良いと思う。
私達がラグタイムを途轍もなく懐かしく感じるのは、確かに不自然であるが、それは未知の世界へのノスタルジーなのである。
同じ人間が生まれて来ないように、同じ時間が二度と来ないように 生まれてくる全てのものにどこか新結合があるのでは???
裕美・ルミィヤンツェヴァ