戦争と平和

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(ロシア人のだんなさん優しいですか?という質問より・・・)

だんなはものすごく優しいですよ。二人とも「なにじん」という感覚ではなく、世界人・地球人として生きていますので、余り文化的問題はありません。国籍や国境を取り払って、人間としての付き合いをしています。国境もドレミの音階も1キロも1リットルも皆人間が考え出したもの。目安なんて元々なかったのです。

私が18で日本を飛び出したのは、社会という決められた物差しで物事を計りたくなかったから・・・。赤ちゃんは生まれてきた瞬間からもう「なんじん」って決まっていて、どこの国の法律に従わなくてはいけないってかって掟があって、大概名前や宗教まで親から与えられてしまっている。もうその時点で自由ではない・・・。

だんなは成長盛りの18才から20才までソビエト軍に2年間獲られた。望まなくてもマイナス40度の雪の中で射撃の練習が始まる。20キロもの軍事器具を背負っての長距離マラソン。広大な大地をジャガイモと缶詰で生き延びる過酷な訓練・・・今だって赤紙が来れば出兵という環境にあります。人を殺せば「殺人」ですが、戦争で殺せば「英雄」。いつになったら人類は、それがなんら変わらぬ「大量殺人」であることに気付くのだろう。

私は長崎被爆者の末裔に当たる。しかしながら一度たりともアメリカ人を憎んだことはない。「人を憎まず罪を憎め」。私達が演奏しているラグタイムは 戦争のなかったアメリカで黄金期を迎えた。南北戦争リンカーン率いる北軍が勝利を収め、奴隷解放令が出され、アフリカの黒人達が自由を手にし、西洋音楽を真似した。そして生まれながらのリズム感が多くのシンコペーションを巻き起こした。 白人達をも虜にしてしまったこの音楽は歴史上初のポピュラー音楽として世界中で大流行した。19世紀後半から20世紀前半にかけて皆に愛されてきたこの音楽を現在の日本で再現することができるならばこんなに幸せなことはない。爆弾ではなく、美しい音色を、明るく楽しい旋律を皆にばらまきたい!!!



裕美・ルミィヤンツェヴァ
HIROMI RUMIANTSEVA